呼吸器内科

呼吸器科について

口、鼻腔、咽頭、喉頭、気管、気管支などの気道と肺という、呼吸の通り道を診察しています。呼吸は生命維持のために不可欠なものであり、数分間妨げられただけで重篤な症状を起こし、命にもかかわります。また、呼吸が低下してしまうと全身が酸素不足になって、多くの疾患や症状につながってしまいます。咳やたん、喘息、息切れ、息苦しさ、いびき、胸の痛みなどの症状があった場合にはお気軽にご相談ください。

よくある症状

咳が続く

咳長引く咳の症状を咳嗽(がいそう)と呼びます。咳が続いている期間によって、3週間以内の急性、3週間~8週間未満の遷延性、8週間以上の慢性に分けられます。
咳が長期間続く場合は、肺炎、肺結核、肺がんなどの可能性があるため、胸部X線検査で異常がないかを確認します。異常がある場合にはさらに精密検査が必要になります。
胸部X線検査で異常が発見できない場合は、呼吸の通り道である気道の感染症がまず疑われます。百日咳、肺炎クラミジア、マイコプラズマなどの感染の有無を確かめるため、血液検査で抗体価を測定します。感染症ではない場合には、咳喘息、アトピー、副鼻腔炎、逆流性食道炎などの可能性があります。中でも多い咳喘息が疑われる場合には、たんを採取して好酸球の増加がないかを確かめ、肺機能検査、呼気NO測定などを行います。咳喘息でもなかった場合には、精密検査を行って原因を確かめます。腫瘍や異物、軟化症などまれな疾患や症状もありますので、あらゆる可能性を考慮して調べます。

息切れ

呼吸器に問題があって起こることも多いのですが、心臓や血管などの循環器、腎臓、肝臓などの疾患によって起こっている可能性もあり注意が必要です。呼吸は身体に酸素を取り込んで不要な二酸化炭素を排出する重要な役割を担っていますが、何らかの疾患によってこの機能が妨げられると息切れという症状を起こします。息切れという症状が現れる呼吸器疾患には深刻なものが多く、適切な治療を受けないと命にかかわる可能性もあります。息切れに気付いたら、早めにご相談ください。

胸の痛み

胸の痛み胸の痛みという症状を起こす疾患で注意が必要なのは、心臓、肺、大動脈に起こるものです。冠動脈の狭窄や閉塞による心筋梗塞や狭心症、肺の血管が詰まる肺塞栓症(エコノミークラス症候群)、大動脈の血管壁の層がはがれて裂けてしまう大動脈解離などは一刻も早く適切な治療を行わないと命にかかわります。
ただし、胸部には、気管支、肺といった呼吸器、心臓、大動脈といった循環器、食道の消化器、肋骨や筋肉、皮膚などがあり、胸部痛はこのどこかに問題があって起きていると考えられます。痛みを感じる部分や強さ、強弱の有無、痛みの種類、起こるきっかけなど、症状の特徴を伺って病気を絞り込み、胸部X線検査や心電図など必要な検査をして診断します。なお、重大な病気が疑われる場合には、速やかに高度医療機関で治療を受けられるようにしています。

いびき・昼間に強烈な睡魔に襲われる

睡眠中にいびきや無呼吸が起こる睡眠時無呼吸症候群が疑われます。いびきや無呼吸は眠っている時なのでご家族などの指摘がないとなかなか気付きませんが、日中に強烈な睡魔に襲われる、起床時にぐったり疲れている、夜中何度も目が覚める、十分な睡眠時間をとっているのに寝た気がしない、集中力がなくなったなどの症状がある場合は、睡眠時無呼吸症候群の可能性が高いと言えます。睡眠時の無呼吸状態を繰り返すと脳をはじめとした全身が酸素不足に陥り、心臓や血管の負担が増加して高血圧症や動脈硬化を悪化させ、狭心症、心筋梗塞、不整脈、脳梗塞などのリスクが高くなります。また、昼間、抵抗できないほど強い眠気が起こって重大な事故につながってしまった例も多く存在します。現在は運転免許取得・更新時に質問票を交付して、睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合には暫定的に免許を停止できるようになっています。また、鉄道やバス、航空、船舶、タクシーなどの各会社でも睡眠時無呼吸症候群の有無や適切な治療を受けているかなどを確認するようになってきています。
睡眠時無呼吸症候群は健康やQOL(クオリティ・オブ・ライフ)を大幅に低下させて命にかかわる可能性もありますし、社会の安全を脅かす可能性のある病気ですが、適切な治療により改善が可能です。重度の症状があっても、鼻に専用のマスクを装着するCPAP(シーパップ)という装置を就寝中に使うことでほとんどの方が良質な睡眠をとれるようになります。いびきや無呼吸を指摘された、日中に強い眠気に襲われるといった症状がありましたら、早めに受診してください。

肺に異常な影がある

健康診断の胸部X線検査で異常を指摘されると、真っ先に「肺がん?」と不安になってしまうと思いますが、実際に異常があって精密検査の結果、肺がんとわかる方は少数です。それ以外の肺や気管支の病気であることが多く、精密検査をしてみると異常がないケースも存在します。胸部X線検査では影絵のように身体の中を映すため、皮膚や肋骨、血管なども映り込み、それが重なることで異常に見えてしまうことがあるからです。ただし、胸部X線検査で異常があるのは、重大な疾患の可能性があるということです。できるだけ早く精密検査を受けて、疾患がないかをしっかり調べてもらうことが重要です。
精密検査として有効なのは、胸部CT検査です。断層として観察できるため、病変の有無、治療や経過観察の必要性などを判断できます。胸部CT検査で治療が必要だとわかった場合、さらに検査と適切な治療が可能な高度医療機関をご紹介しています。

たん

たんには黄色や黄緑、黄土色などのものがあり、鼻水もこうした色になることがあります。こうした黄色がかったたんや鼻水が出る場合、感染症が疑われます。原因となる病原体には、細菌、ウイルス、真菌(カビ)などがあり、こうした病原体が呼吸器に感染すると肺炎、気管支炎、咽頭喉頭炎、副鼻腔炎、インフルエンザなどを起こします。病原体に合わせた治療を行わないと悪化させてしまうこともあるため、注意が必要です。
一般的に細菌による感染症であれば抗生剤で細菌を殺すことができますが、細菌に合わせた系統の抗生剤を使わなければ有効な治療ができません。そこで病原菌を確認することが重要になってきます。当院ではたんや鼻汁などを採取してグラム染色検査を行い、染色してから顕微鏡で観察して細菌を絞り込み、適切な抗生剤を使用しています。その場での採取も可能ですが、たんや鼻汁をポリ袋やラップで包んでお持ちいただくとスムーズな検査が可能です。
また、インフルエンザなど例外的に抗ウイルス剤が登場しているものもありますが、基本的にウイルスには抗生剤が効きません。そのため、十分な水分と栄養をとり、安静を保って睡眠をしっかりとることが重要になります。

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